医療のリスクにも通じる:八甲田山 死の彷徨

「意見具申」

この言葉
聞いたことがありますか?

「自分より上の役職の人、機関などに
意見を述べること。」

大学病院の医療事故発覚後に
一番言われたこと。

なぜわからなかったのか。
なぜ誰も言わなかったのか。
なぜ続けさせたのか。

「言ったけどきいてもらえなかったから 
もういいと思った。」

「職種が違う、立場が違う
部署が違うから
言うものではないと思った、
言えなかった」

聞いてはもらえない雰囲気があると
何度も言いにくいものです。
一度言って聞いてもらえなかったら
それ以上はなかなか言えなかった
という声もありました。

問題と思っていても
変化させるように伝えるのは難しい、

と言っている組織では
患者安全には遠いのです。

「なぜ気がついた?
なぜ調べたのか?」

と、いろいろなところから
何度も聞かれました。

組織を動かせたのは、
調査のできる立場につけたこと
客観的なデータを作り上げたたから
と思います。

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八甲田山死の彷徨
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「意見具申」という言葉、
医療安全研修でも出てきます。

意見具申といえば、と
この本を思い出して

何年か前に
DVDで古い映画を見直しました。

2つの連隊が冬の八甲田山での訓練
どちらにもすぐれたリーダーがいた。

一つの連隊には上層部が
いろいろと指示を出し
準備もその場での判断も
リーダーは逆らうことができない。
リーダーの意見が通らない。
そして全滅に近い死者を出すという悲劇。

もう一方の連隊は
そういった無理を強いられることはなく
リーダーの適切な判断で
少人数で時間をかけた日程で計画し
案内人も依頼し
全員無事に訓練を終えた。

学生さんへの講義などで
使っていました。

古い時代のものですが、
名作はやはり響くものがある
衝撃的な映像です。

チームというもの
リーダーとは
状況認識、意思決定といった
リスクへの対処に必要なものを
改めて認識させられます。

数年前にあった
登山部の高校生ら8人が
雪崩で亡くなった事故にも
つながってしまうのです。

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コミュニケーションのルール
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コミュニケーションって
ルールがあるものでは
ないかもしれませんが

やっぱり言いにくい
と感じてしまうのは危険。

医療の現場ならではの特殊性もある。
だからルールとし、根付かせることが
求められ、広まっています。

例えば
2回チャレンジルール

1回言ってもやはり不安に思ったら
もう1回言わなければいけない。
2回目を言われたら
きちんと受け止めて
話を聴かなければいけない。

話し手と聞き手
両方が意識する必要がある。

医療の現場では
時に急な判断も求められる
複雑に多種多様な人が関わる。

通常のコミュニケーションはもちろん
プラスアルファの力も必要。

意見具申も
ただ言えばよいのではない。

その場の状況を読みつつ
必要な時には
適切な状況で自然にできる力を
個人が持つこととともに

組織として受け入れられる文化
風土であること。

安全のために必要なのです。

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変わらぬ基本がある
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