「ステロイド拒否の患者さん」と言われたら

皮膚科医としてのお話。

最近は少なくなりましたが

アトピー性皮膚炎の患者さんで

「ステロイドは塗りたくありません」
という方がいます。

一時、皮膚科でも
脱ステロイドがよい、
といった方向になった時期もありましたが

それは間違っている
アトピー性皮膚炎の治療の基本は
ステロイド軟膏を塗って
きちんとコントロールすること

としっかり示されています。

もちろん症状がよくなれば
弱い軟膏、ステロイドではないものに
変えていくことはできるわけです。

こういった方針は
学会のガイドラインにも
きちんと書かれています。

ステロイドを必要なときに
しっかり使うのは
正しいこと

なのです。

そして
治療が不十分な場合には
他の選択肢もあります。

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ステロイド拒否?
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「ステロイド拒否です」

と紹介状に書かれた患者さんが
おりました。

かなり症状がひどく

普通にみれば
しっかりステロイドを塗る治療が
第一選択。

これまでもこういった方は
時々いらっしゃいましたが

診察してお話しして

「ステロイドを塗る」
という治療に至ります。

そんなに時間もかかりません。
しっかり納得の上です。

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診療もコンフリクトマネジメント
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「ステロイドはいやです」

と言われて
「ステロイド拒否の患者さん」

とレッテルを貼ってしまうと
そこで止まってしまいます。

ステロイドは悪いモノ
なるべく使わない方が良い
使ったら悪くなった

いろいろな思いで
「ステロイドはいやです」

と言うのです。

「どうしていやなんですか?」

どこかで聴いた
書いてあった
人に言われた

などなど。

その発言には背景があります。

「そうなんですね
いろいろ情報ありますものね」

「そうなんです!!」

しばし話を聴いてから
こちらの話を聞いてもらう。

一般的な治療の方針をお話する。

いきなりこちらの説明をすると
説得されている感をもたれますが

傾聴・共感・承認

の後に
医学的な説明。 

あくまで標準的な説明のあとで

「かゆくて大変ではないですか?

『私は』しっかりステロイドを
塗って改善させた方が
良いと思いますが・・」

『私は』 アイメッセージです。。

非言語も大事
目力(めぢから)こめて・・。

ステロイド拒否はポジション
表出している言葉

インタレスト、本当の想いは引き出して
新しい情報を
信頼とともに伝える

病院に来ているのは
不安だから

来ている時点で
なんとかして欲しいと思っている。

きちんとした情報が
伝わっていないだけかもしれない。

症状次第で、許容できるなら
患者さんにあわせて時間をかけたり
ということもありますが

医学的に一番良いだろうと思うことを
安心して行っていただくこと。

診療するのも楽です。
患者さんも安心では・・。

もちろん最終的に決めるのは患者さんですが
プロフェッショナルとして
正しいと思うことを提示し

寄り添える範囲は寄り添い
時に毅然とする。

不安の続きが怒りです。
だからコンフリクトマネジメントと同じ。

感情への対応
強さはいろいろですが

日常の場面でもたくさん
使っているのです。

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