【ドクター永井の皮膚科】疥癬(かいせん)を広めない

疥癬(かいせん)を広めない  YouTube No.57

疥癬虫(=ヒゼンダニ)が皮膚に寄生してしまう病気です。
湿疹に間違われやすく、 正しい診断、治療と予防が大事です。

 

1.疥癬とは
高齢者施設や家族内での感染が問題となることがあります。
疥癬虫(ヒゼンダニ)が角質に寄生刷ることにより生じます。

2.症状
赤いポツポツした発疹、湿疹に間違えられやすいものですが、
ステロイドを塗ると悪化します。
手にできるのも特徴で、指の間の疥癬トンネルは特徴的ですが、
必ずしもあるわけではありません。
陰嚢にもう少し大型のものができることがあるのも特徴です。

疥癬には普通のタイプと重症型:角化型(ノルウェー疥癬)があり
重症型では疥癬虫がたくさんいて感染力が強いです。

3.診断
疑えば検査しますが、それまでの治療でどうだったかということも大事です。
市販薬もいろいろなので、ステロイドが含まれているものもあります。
周囲の方に同じ症状の方がいないかどうか、なども重要です。
検査は水虫の検査方法と同じです。
疥癬の虫か卵をみつけて診断しますが、顕微鏡でみえる虫と卵は衝撃的・・

3.治療
内服 イベルメクチンが効きます。
2週間あけて2回内服が基本です。
外用 クロタミトン(オイラックス)を使うことが多いです。
かゆみ止めの抗アレルギー剤もつかいます。かゆみを抑える対症療法も大事です。外用は全身が基本、広い範囲に塗ります。
市販のオイラックスHはステロイドが入っているのでダメです。

4.薬だけでは治らない
接触感染でうつりますから対応が大事です。
普通の疥癬は隔離は必要なくノルウェー疥癬だけです。
皮膚からおちると虫は2−3時間で感染する力がなくなりますが、
直接皮膚から接触すれば感染します。
素手で触れないという習慣は感染対策として必要です。

5.正しく予防
足りないのはダメだけどやりすぎもダメです。
患者さん側と清潔なもの側を分ける意識、日常からの感染対策が必要です。
洗濯も普通で大丈夫、タオルの共用はしない、掃除は普通に行いましょう。
入浴時のムトーハップは皮膚に刺激になることが多くおすすめしません。

 

《オススメ本》

疥癬はこわくない(医学書院)

 

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