「させていただく」の使い方
椎名美智(角川新書)

言語学者の著者
この言葉を詳細な調査と時代検証とともに
解説しています。

「させていただく」
つい良い感じに使える気がして
多用しがちです。

でも
「飲食は禁止させていただいております」
「列車の運行を減らさせていただいております」
使いすぎではと思うこともあり
なんだか違和感です。

相手に遠慮して控えめな言い方
ということなのでしょうが
「言い切れないのか」と
言いたくなることもあります。

使う時の注意点
・謙譲型があるときは使わない
・へりくだる必要がないときは使わない
・繰り返しを避ける

頻繁に使われすぎるのが
違和感かもしれません。

本来の適切な使用の条件
・自分側の行為を
1.相手側や第三者の許可を受けて行うこと
2.そのことで恩恵を受けた事実や気持ちがあること

許可と恩恵が重要

しかし、元来の意味を失って
幅広い動詞と一緒に
使用できる補助動詞に変化している

相手との絶妙な距離感を
保つことができる言い方

時代とともに変化
一緒に使われる動詞の種類が増えている
コミュニケーションに関わる動詞と
一緒に使われることが多い

受動的コミュニケーションの動詞
(みる、きく、読むなど)から
能動的コミュニケーションの動詞
(述べる、話す、答えるなど)に拡大

コミュニケーションの場面で
使われることが多く
相手との近接化、遠隔化の両立を
はかることができる

政治家の答弁
「お答えを差し控えさせていただきます」
炎上が少なくなった

本当は自分の強い意志だが
相手からの質問と自分の謙虚さが演出できる
メリットを発揮している

時代によるコミュニケーションの変化
「させていただく」と言うときの
相手への敬意は減っている

時代の変化

他者に対しての敬意を示すのに
他者に向ける代わりに
謙虚な自分を示すことに注力している

現代日本語の敬語が
他者を必要としなくなってきている
ということ

自分もつい多用しがちで
重なっているのを
直すことも多い便利な言い方です。

「させていただく」から
日本語の変化
コミュニケーションの変化を
こんなに深堀りできるのかと感心です。

 

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