外用薬も先発品と後発品は同じではない

後発医薬品のお話

久しぶりに
後発医薬品は先発と同じではない
というお話。

後発医薬品とは
先発のものと主成分は同じだけど
その他に混ぜるものは
違うという製品です。

ジェネリックと呼ばれているもので
こちらのほうが安いので
国がこちらへの転換を
一生懸命進めています。

医療費削減のためです。
病院もその方針には乗らないと
いけないということになるわけで

院内のジェネリック率〇〇%
というのは実績になります。

処方する時に
「後発医薬品不可」と医師が入力しないと
院外薬局では
勝手に後発品に変えても
良いことになっています。

褥瘡(じょくそう)=とこずれ、の治療薬

褥瘡(じょくそう)
いわゆる「とこずれ」が
とても深くなってしまうことがあります。

今は予防やケアの知識や技術も
とても進歩したので
少なくなっていますが

動けない方を
時間で体制を変えたりするのは
大変なこと。

自宅でひどくなってしまうこともあり
施設でも発生することがあります。

深くなった褥瘡で
よく使う外用薬に
「ユーパスタ軟膏」
というのがあります。

かなり昔に
イソジンシュガーという
手作りから始まったもので
効果があるので製品化されました。

名前のとおり
イソジン=消毒液の成分
シュガー=砂糖!
プラス、滲出液を吸収するような
基剤がいろいろ混ざっています。

深くてジクジクする
ひどいとこずれで
よく滲出液を吸収して
創面を良い状態に持っていくための
優れた軟膏なのです。
傷の状態が良くなってくれば
別のものに変更します。

で、数年たって
後発品もたくさんでています。

たくさん使うし
値段がはるかに安い
ということで

今やどこに行っても
後発品しか見ない!

という状況です。。

科学的データも・・

たくさんの床ずれ治療をしていると
やっぱり効果が違うのですよね。

以前、褥瘡の外用薬の効果を
研究するグループに
参加させていただいて

薬学の研究者の方が
たくさんデータを出していました。

滲出液の吸収力が
先発品と後発品では全然違う

効果も同じではないのは明らかです。

とは言っても
国はなるべく後発医薬品にという方針。

コストも考えなければという
病院の経営の問題。

巨大なマーケットの前には
かき消されてしまうのが実感。

医療費削減への協力も必要ですから

状況をみて外用薬も
使い分けです。

基剤の話:軟膏とクリームとローションで違う

先発のユーパスタ軟膏

どこにいってもみかけるのは
○○軟膏という後発品

行く先々で
違う名前の後発品(ジェネリック)があるので
どれだけあるんだ!
と感心です。

外用薬というのは
「主成分」と「基剤」からなります。

この薬であればヨウ素

抗生物質軟膏であれば
そこに入っている抗生物質

水虫の薬であれば
「抗真菌作用」を持つ成分

こちらは重要ですが
量としてはわずかであって

プラスされている

「基剤」といわれる成分の方が
はるかに量が多いわけです。

市販のものでも
・・軟膏、・・クリーム、‥ローション
などありますが

使い心地が違いますよね。

炎症が強いところに
ローションを塗ったりすると
基剤の影響でしみたり悪化したりします。

世の中の方針も考えて選択

外用薬では
主成分だけでなくて
基剤の部分というのはとても重要。

ましてや
皮膚の傷、特に深い潰瘍に
使う薬は

基剤の部分の影響の方が
大きいくらいなのです。

この薬に関しては、先発品が良いと思われ
科学的なエビデンスもありますが

世の中には
ジェネリックばかりです。

わかっている人は
先発品を使うのでしょうが

療養型の病院などでは
大量に使うと
使うほどに損失なんていうことも
起こります。

私が働く病院でも
いつの間にか
院内に後発品のみになっていたので

先発品も戻してもらいました。

両方置いて使い分けます。

治すぞ!治る!と言うときには
先発品。

治らない、治すことを目的としない
褥瘡の処置には後発品。

治さなくてよいと思っている?
ということではありませんが

治らないであろ皮膚の潰瘍もあるのです。

先発品だから絶対治るという
ことではないですが

この治療は何を目的にするのか
によって選択はせざるをえません。

どんな治療でもそういう選択を
する場面はでてくるのです。

どこまでの治療をするのか。

bestとbetterを考える

治るのがよいけれど
かなり厳しい

できるだけ
悪化させない
感染させないことを
目的として傷と付き合っていく
という場合もあります。

何が本当に正しいのかは
わかりません。

現実をみながら
世の中の方針が決められます。

さまざまなことを踏まえながら
その時点での
最良と考える選択をしていきます。

医療は国の政策の中で
動いているのです。。

 

Dr.N
周囲を見渡してその時点での最良の選択

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