エラーという言葉が誤解されませんように

医療における3つのリスクマネジメント

エラー:薬間違い、人間違い、などの明らかなミス
クオリティ:術後の合併症が多い、死亡率が高いなど、医療の質に関すること
コンフリクト:医療紛争を含む患者さんへの対応

と説明してきました。

医療安全への対策はまずエラーへの対策が進みました。
医療安全を担当するものが診療内容に踏み込むことが
なかなかできなかったことは、術後死亡などの問題を
強く指摘できなかった一因でもあります。

自分たちで振り返って見直す
その部署や組織のトップが指摘することは
もちろん必要でした。

最近、「診断エラー」と言う言葉をよく聞くので
良いのかなあと思いつつ
診断に限られることなので
治療の過程で問題になったこととは一線を画して
受け入れられるものなのかなあなどと
いろいろ考えてしまいます。

誤診率
診断エラー

もちろん医療の質の向上を目指すために
取り組むものではありますが

医療の外にでたら、
単なる医療者の間違いととられないように
診断の限界があることも
理解していただかないといけない

言葉として単純に使うのはどうなのかなあと
また考えてしまうのでした。

少し前のメルマガから~

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結果的にはエラー・・?
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医療の中で最近
頻繁に目にするようになったのですが

ずっと気になっていた言葉

「診断エラー」

確かに結果的に診断が違っていた
いろいろ調べてやっとわかった
ということはよくあります。

これをお読みいただいている方には
医療者の方も
そうでない方もいらっしゃいますが

この言葉
どう感じられるでしょうか。

私の立場は
医師であり
元医療安全管理者

なのでちょっと特殊ではあります。

医療安全管理者というのは
病院の中で
「医療安全管理」

すなわち

医療の中でのエラーが
起こらないような対策をとったり
起こったときに
再発予防に活かしたり

院内の安全に対する意識を高めるように
活動したり

大きな医療事故の時には
病院としての対応のための
調査のお手伝いや
患者さんやご家族の対応

私はコンフリクトマネジメントを
専門としていたので

日常の苦情・紛争・クレーム対応の研修
病院としての対応の機会が多かったのと

ちょっとあり得ない大きな
医療事故調査の経験

があるのが最大の強みです。

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言葉の理解とずれ
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医療事故
医療過誤(ミス)

の言葉の関係だけでも
共通に理解するのは難しい。

本来の「医療事故」の定義は
いわゆる

間違えてしまった

というミスだけではなく

予測外のあるいは
予測を超えるような
患者さんにとっては
悪い結果

結果だけでなく
その診断、治療など
医療行為のプロセスを含めて確認して

事実と客観的な評価から
法的な検討なども加え
病院として金銭的な賠償をするのか
などを判断するのです。

これだけで長くなってしまいました・・。

診断エラー
と言う言葉が気になるのは

医療安全で考えなければならないことは

エラー
クオリティ
コンフリクト

の3つのリスクと
その管理

と伝えてきたからです。

医療事故には
エラーとクオリティの事例

両方あるのです。

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エラーとクオリティ
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エラー(ミス)

人を間違えた
薬を間違えた、などなど

間違いが明らか。

手術後に患者さんが亡くなった

間違えてしまった、のではない。

予測外に急死したからすべて医療ミス(医療過誤)
ということではない。
やむを得なかったと判断することもある

でも、その医療のプロセスが
標準を下回ると言う評価

病院として賠償もしたし
今後の改善に大いに活かしました。

診断エラーと

軽く医療者が使ってよいのかと
思っていたら

診断学をメインにする方々には
当然となっている言葉

診断エラー学会というのも
10年前からあるのです。

救急現場での診断とか
難しいこともあり
その精度を上げるために
人間の誤りやすい要素を検討して
研究し、共有する

いわゆるミスを防ぐための
考え方と基本は似ています。

それはとても重要なこと。

3つのリスクのうちの
クオリティ(質)にあたるもの。

クオリティは長年、
安全管理者が
入り込みにくかったところでもある
というのが実感。

エラーという言葉が大きくなって
これはあるもの
個人の問題ではない

改善しようと医療界では一生懸命に
取り組んでいる

と医療者(特に医師)以外のかたに
伝われば良いのですが

医療の質
診断の精度をあげる

いろいろな表現はあるし・・
なかなか診断できなかったことを
診断エラーと呼ぶのかなどと

言葉一つで対話が炸裂
と言う世界にいたので

「エラーなんですよね!」
「エラーは起こりうるもので・・」

と言う会話が聞こえそうで
どうも気になってしまうのでした。

でもこれは
医療安全管理というちょっと特殊な部門と
現場で関わる部署との
感覚のずれでもあるのでしょう。

医療安全の雑誌にも
診断エラーと患者安全
と大きく特集されていたくらいなので

診断エラーと言う言葉は市民権を得て
起こりうること
医療界では真摯に取り組んでいる

と伝わればよいのかもしれません。

長くなったので
またそのうちに続きをお伝えします。

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立場による違いを理解する

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