《読書ブログ》保健室からみえる 親が知らない子どもたち

読書ブログ

「保健室からみえる親が知らない子どもたち」
桑原朱美(青春出版社)

 

著者はパワーあふれる元保健室の先生

著者は養護教諭(保健室の先生)として
25年間の勤務の後に
独立して脳科学理論を取り入れた
保健室コーチングを伝え
楽しいオリジナル教材を多々作成し
全国で引っ張りだこの方です。

お会いしたこともありますが
どこにこんなパワーがと感じるような方。。

じっくりとその思いや実践を
知りたいと思っていましたが
ついに本が出版されました!

私が伝えていた
医療者と患者側の
コンフリクト・マネジメント

共通するところがたくさんあるので、と
応援していただいていました。

医療と保健室
というのもつながりますね。

桑原先生のメルマガで
私のメルマガを紹介していただいたときには
数十人の保健室の先生が
一気に登録してくださり

どれだけパワー持っているんだ!
と圧倒されたものです。

医療コンフリクト・マネジメントとのつながり

私が伝えていた
医療のコンフリクトマネジメント
(紛争や対立、苦情・クレームなどの対応ほか
自分自身の葛藤に対する対処など・・)

その中で

対立する医療者と患者側
その間にたって対話をつなぐ
医療メディエーターという
中立第三者的な立場の方が関わる

という対話モデルがあります。

コンフリクト・マネジメントで大事なこと

・傾聴・共感・承認
そう思っている相手を認める
・本当の想いを知る
表に出ている言葉は本当の想いではない
対話で言葉に出すことで
自分で深層の想いや価値観に気づく
・事実を大事に
問題解決につなげる

こうしようと思っても相手は変わらない
共感だけしていても問題は解決しない

対立するというのは
怒りという感情を
表出することが多いのですが

怒りは二次的な感情
そのもとには
不安、不満、葛藤、後悔、期待
などさまざな感情があります。

揺れ動く感情は
みな怒りのもとであり
そんな意味では
アンガーマネジメントも
コンフリクト・マネジメントも
つながっています。

自分の気持ち、感情を
コントロールできない

この本にある
「生きづらさ」
という言葉には
そんな感情が凝縮されています。

脳科学理論と現場が実践でつながり
力強い言葉で伝えられている

保健室

学校と家庭との間で
自分でどうして良いのかもわからない
様々な想いを持った子どもが
訪れてくるところ

そこにいらっしゃる先生は

気持ちを受け止めかつ
ちょっと俯瞰してみてくれる
メディエーターみたいな存在の方
と感じていました。

問題を抱える当事者は

自分の気づきを得て
解決していくのです。

著者は

共感だけでは解決しない
NLPという心理療法を取り入れて
人が落ち込んだり、立ち直ったり
成長したりする「しくみ」を
理解することで

子どもたちの表面の言動に
振り回されなくなったと
述べています。

「現象の解決」から
「物事の本質への切込み」

に変わった

そして問題は問題ではなく
単なる思い込みだった

と自分で解決に気づくということ。

現場での実践

特に
保健室という
限られた空間のようにみえて
だれもが関わってきたであろう場所
これから子どもが関わるであろう場所

こんな場所と

脳科学理論がつながれてきた
実践の経験
それを広め伝えてきた経験

力強い言葉でつたえられている
この本を読むと

子供の教育というだけでなく
自分もこうだった
という自分自身の振り返り
気づきが必ずあります。

思い通りにならないのは
外からの力ではない

自分自身が発信するものを変えれば
自分の脳の使い方や思考、言葉を変えれば
現実の見え方や相手の反応も変わる

「主体的な人生を生きる」
という想いが実践と結びついて

さらに、それが
力強い言葉で伝えられている

誰もが「生きづらさ」を考える
人が本当に必要とするものに気づく

そんなきっかけになる1冊です。

 

妖怪で共感

医療者も
優しく話を聞いてくれる人
であるべき

話しやすいと思われる人でないと
言いたいことが言えない患者さんの
思いを引き出したり

胸の中にある不満が
だんだん大きくなって
爆発する

話しやすい
聴きますよ

という門を開いておくことは
必要です。

保健室もそうですよね。

聴くと言っても
話せない子もたくさんいます。

実は著者は
とても面白い発想で

妖怪を登場させるのです。
たとえば

「妖怪サッシ手」

言えないけどわかってほしいと
うっすらとサッシテ光線をだしている
という妖怪

楽しいイラストです。

言えないのがいけない
言えないといけない
きちんと話しましょう

ということではなく

こんな妖怪がついているよね
なんて話をされたら

自分にもいる〜
と笑って共感しあえますね。

私も子どもの頃は
妖怪サッシ手が取りついていました。

母親がよくサッシてくれてたので
すっかり言葉足らずになりました。

「なんでなんで攻撃」
というのも笑えます。

なんで言えないの?
なんでこんなコトしたの?

責められ感が満載ですね。

こういう雰囲気の質問には
「そんなこと言ったって
わからないよ!」と
口を閉ざしてしまいたくなります。

医療の場では仕方がないですし
慣れているので
共感しつつ言葉をつくります。

間違いがあったときに
「なぜ?」こうしたのかと
考えることは重要ですが

相手に尋ねるときには
「なぜ?」は責める感覚を与えてしまう
ことがあります。

ユニークな妖怪がたくさん出てくる

と言ってもこの本の中には
まだ一部だけです。

またこれから
次々と登場するのでしょう。
楽しみです。

大人も未来をみてほしい

そういえば以前のことを
思い出しました。

職場のトラブル
うつになって休職したあとの方と
お話していたとき

「なにやりたいかわからないんですよ」
「こうした方がいい、って言っても
上はきいてくれないし・・」
「大した仕事もないし
自分は必要ないんじゃないかって思う」
「まわりは気を使ってるみたいだけど
それもいやだし」

本を読みながら思い出して
保健室に来る子どもと同じかも
なんて感じました。。

大人も子どもも
「生きづらさ」には
同じことがたくさんあるのです。

私は
脳科学を勉強してのワークなどは
できませんが

「定年までここで働く?」
「いや、それはない」

「じゃあその頃何していたい?」
「仕事したくないな、遊んでたいな」
「じゃあお金ないとね」
「少し投資とかしてます」
「足りるの?」
「いえ」
「勉強しないと損しますよ」
「してますよ、結構好きだから」

以下省略ですが
自分で未来を考えて
こんなコト好きなんだよなと気づいて

結局その会社はやめてしまいましたが
自分で考えて決めたこと
納得がいったのでしょう。

著者は言っていますが
「保健室は、教育の場であり、
癒しの場ではない」

大人同士だと
教育というと
言葉は違うかもしれませんが

「生きづらさ」にどう向き合うか
ですね。。

で、その感じ方は
みな違う。

長所も短所も特徴
いろいろな面を持っていて当たり前
適材適所に生かせばよい

違いを認める
できるところをみよう

といいますが
この本では
それが実践と経験のもとに
伝えられるから力強いのです。

未来を考える

大人も生きづらさがあるけれど

やっぱり子どもの未来は長い
何も決まっていない
どうにでも選択できる
環境に大人に左右されやすい。

ステキな言葉が
たくさん散りばめられています。

現象で判断しない
その奥にある本質に気づく

物事は解釈で変わる

夢=職業ではない
職業は手段

その手段を使って何がしたいのか、
どんな人生、どんな未来を
つくりたいのかという目的こそが大切

言葉で説明できるように
そんな教育も必要
でも体で感じることもある
それが強い子もいる

うまくいかないときの
言葉で脳の焦点が決まる

未来への思考につながる
言葉を使っているか

大人が伝えなければならない
知っているべきことが
たくさんあるのです。

コンフリクトマネジメント
と言いながら

子どもは苦手・・
と思っていた私ですが

この本を読み返して

客観視しながら
対応してみようと思います。

 

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