生活習慣病

人生100年時代、到来

厚生労働省によると、2019年の日本人の「平均寿命」は男性81歳、女性87歳。
今や100歳以上の人口は9万人を超え、いよいよ「人生100年時代」が現実となってきました。
しかしながら、誰もが健康に寿命を全うできるというわけではありません。
2019年時点で、自分の意思で自由に日常生活を送ることができる期間を表す「健康寿命」は、男性が74歳、女性が74歳。
「健康寿命」と「平均寿命」の差は、“何かしら健康を害した状況で生きている期間”ともいえます。
健康を害した状況とは、例えば、日常生活を送る上で周囲の手助けや介護が必要だったり、寝たきりの生活を余儀なくされたり。そうでなくとも体力が衰えて病気がちであれば、QOL(生活の質)は低くなってしまいます。
では、QOLを下げることなく、人生100年時代をずっと健康で幸せに生き続けるために、今私たちは、どんなことを心がければいいのでしょう?

私たちの健康を脅かす、最大の原因とは?

私たちの健康を脅かす大きな要因の1つが、”生活習慣病”です。

生活習慣病とは高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症など)、高尿酸血症・痛風、動脈硬化などの総称で、偏った食事・運動不足・飲酒・喫煙・ストレス過多など、こうした”生活習慣”を続けていることで引き起こされると言われています。
以前は「成人病」と呼ばれ、加齢とともに発症・進行するものとされていました。しかし近年、運動不足や飲酒・喫煙・不規則な生活など、子どものころからの生活習慣が原因となって発症することが分かり、”生活習慣病”と呼ばれるようになりました。
また、生活習慣病は「サイレントキラー」とも呼ばれます。
本人に自覚症状なく、知らず知らずのうちに症状が進行していることが多いためです。
生活習慣病は、放置しておくと最終的には、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる重大な病気につながるケースもあるのです。

生活習慣病のリスクをチェック!

不適切な食習慣、運動不足、過度な飲酒や喫煙、仕事や人間関係のストレスなどを抱えて送る毎日が、命を脅かすような結果を招く。
まさに、「塵も積もれば山となる」生活習慣病ですが、今のあなたのライフスタイルは、いかがでしょうか?

生活習慣病のリスクをはらんでいないか、ここで簡単なチェックを行ってみましょう。

次の質問に、「はい」か「いいえ」で答えていただき、「はい」の数を数えてみてください。

  1. 「ウエストサイズ(へその位置)」が男性で 85 cm以上、女性で 91cm以上である。
  2. 塩辛い味付けが好き。
  3. 甘いものが好き。
  4. 魚よりも肉料理が好き。
  5. 食事時間は決まっていない、あるいは夕食が遅い。
  6. 食に関心が薄く、手軽に空腹を満たせればいいと考えている。
  7. 「飲み過ぎ」てしまうことが週3日以上ある。
  8. 定期的な運動をしていない。
  9. 1日の歩数は7000歩未満。
  10. ひとつ上の階にあがる時にもエレベーターを使う。
  11. タバコがやめられない。
  12. 夜ふかしが多く、睡眠不足を感じる。
  13. 常に長時間残業などで忙しく、リラックスの時間が取れてないと感じる。
  14. 仕事を最優先させてしまう。

「はい」が2個以上あった方は、この機会に生活習慣の見直しをしてみましょう!

健康寿命を全うするために大切な3つのこと

ここまで、不適切な生活習慣が及ぼす影響について述べてきました。
日々の習慣、ライフスタイルがいかに大切なことなのか、おわかりいただけたかと思います。

健康寿命を全うするとは、決して特別なことは必要なく、1日1日、良い生活習慣の積み重ねの結果なのです。

では、良い生活習慣とは、具体的にどういうものなのでしょうか?
生活の最も基盤となる3本柱、食事、運動、睡眠について考えてみましょう。

1. 食事

日々の食事で大切なのは、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂取することだと言われています。特にこの5つの中でも、注目したいのは、炭水化物とタンパク質です。
タンパク質
タンパク質は、食欲を抑制し、筋肉増加やエネルギー消費量の増加、脂肪燃焼にも役立つ、健康を維持するために欠かせない栄養素です。

しかし、現代人の食生活では、不足してしまうことも多く、注意が必要な栄養素。
タンパク質が不足すると、筋肉量の減少や免疫力の低下、貧血、髪や爪の弱化、疲労感など、日常生活においても様々な問題を引き起こし、生活習慣病のリスクも高まります。

特に高齢者は、適正量のタンパク質摂取が重要です。
一般的には成人男性で60g、成人女性で50gが推奨されていますが、高齢者は体重1kgあたり1.0g/日の摂取が望ましいとされます。

肉、魚、豆類など、タンパク質を意識して、日々の食事を見直してみましょう。

炭水化物(糖質)
炭水化物は、健康の観点から、近年、悪者扱いされることが多い炭水化物ですが、炭水化物自体は決して悪いものではなく、エネルギー源として必要な栄養素です。カラダの活動に不可欠で、適度な摂取が健康維持に役立ちます。
 
一方で、炭水化物を摂りすぎると、メタボリックシンドロームの原因になります。内臓脂肪型肥満や高血圧、高血糖などのリスクが高まり、生活習慣病にもつながります。そこで、糖質を過剰摂取しないために、毎日の食生活に、以下のようなひと工夫を加えてみましょう。
  • 食べる順番を変えてみる(主食は最後に食べる)
  • 間食をやめる
  • 朝食を抜いて、1日2食にする
  • 夕食の主食を抜く、もしくは減らす
  • たんぱく質、緑黄色野菜、海藻・きのこ類を多く摂取する

【参考文献:面白いほどわかる糖質の新常識 前川智 監修】

あなたの体の元気を支えるエネルギー源として、適度にバランスよく摂取して、明るく健康な毎日をお送りくださいね。
食事は、健康な毎日を送るために、誰もが欠かせない大切なこと。
ほんの少し、意識を変えるだけで、その小さな積み重ねこそが、最大の生活習慣病対策になるのです。
あなたの日常生活に、無理なく手軽にできそうなところから取り入れてみてください。
そして、まずは1ヶ月続けていただき、ご自身の変化を楽しんでみてくださいね。

2. 運動

運動は、カラダの健康だけでなく、ココロの健康にもよい影響を与えます。
逆を返せば、運動不足が続くと、不眠などのメンタル不調、肩こりや腰痛などの体調不良、心臓病、脳卒中、糖尿病など、様々な病気の原因になります。
また、デスクワークなどで1日に11時間以上座っている人は、座っている時間が4時間未満の人と比べると、死亡リスクが40%も高まるとも言われています。

●スポーツ庁Web広報マガジン
●京都府立医科大学HP

このように、”生命”に重大な影響を与える運動ですが、現代人は、運動不足の人が意外と多いのも事実。その背景には、生活が便利になったこともありますが、忙しくて運動の時間が取れないことも、原因の1つです。

忙しい方でもスキマ時間を利用して取り入れられる、簡単な運動をご紹介します。

通勤・外出中に

  • 一つ手前の駅で降りる
  • 駅構内は階段を使う
  • いつもと違う道を使って+10分(約1,000歩)増やす
  • 歩幅を広く、速く歩く

仕事中に

  • 遠くのトイレを使う
  • 30分に一度は立ち上がる
  • 昇降式デスクを使用し、立ちながら作業する
  • 座っているときも、つまさき・かかと上げや膝のばしをする
  • 首、肩、二の腕のストレッチを行う

●厚生労働省「ビジネスパーソンのための健康な身体づくり」

【職場で手軽にできる運動不足解消法 30秒×2セット(左右)】

●職場でおてがる+10始めてみませんか? 千葉県健康福祉部健康づくり支援課

1日10分の運動でも、生活習慣病のリスクは低減し、虚血性心疾患や脳梗塞、がんなどの発症も予防できるとされています。
大切なのは、無理のない範囲で、とにかく続けること。
身体を動かすことを日常生活の中に積極的に取り入れて、運動不足を解消していきましょう。

3. 睡眠

私たちが生きていくうえで、睡眠はなくてはならないものです。
健康的で活動的な生活、病気の予防などを考えると、質の高い睡眠を心がけたいですよね。
現代人、特に大都市では生活が夜型化しており、日本人の平均睡眠時間は50年前に比べると約1時間も短くなっているといわれています。
 
とはいえ、たくさん眠れば眠るほど健康になれるのかというと、そうではありません。
1日1時間以上の昼寝は、逆に糖尿病リスクを高めると言われています。

実は寝過ぎも、健康にはよくないのです。

良い睡眠を取るために、大事なのは、”時間”よりも”質”。
特に、最初の90分間の眠りの”質”を上げることが、特に重要になってきます。
【出典:スタンフォード式 最高の睡眠】

睡眠の質を上げるために

寝始め90分の睡眠の質を上げるために、具体的に何をすれば良いのでしょう?
カギは「体温」と「脳」のスイッチを入れること、です。

体温スイッチ① 就寝90分前の入浴
  湯船で体をしっかり温めましょう。
  深部体温が上がり、皮膚温度との差が縮まります。

体温スイッチ② 足湯
  足の血行をよくして、熱が放散されます。
  靴下を履いている場合は、寝る直前に脱ぎましょう。

体温スイッチ③ 室温コンディショニング
  敷き布団の材質はチェックしてみてください。
  室温調整でリラックスできる環境を作りましょう。

脳スイッチ
  寝る前30分はスマホ断ちをお勧めします。
  寝る前の娯楽は、刺激よりも、リラックスできるものを選びましょう。

睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気で、欧米では太った人に起こりやすいと言われていますが、日本人の場合、あごが小さく、気道が塞がりやすいので、やせている人にも起こることが珍しくありません。
  
睡眠時無呼吸症候群の主な症状は、いびきや、日中の眠気のため仕事に支障が出たり、交通事故を起こしやすくなったりします。また、放置していると狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患を引き起こすことがわかってきています。

命に関わる大きなリスクがあるとはいえ、寝ている間のことは、自分ではなかなか気づけないもの。
過去に家族や周囲の人に呼吸の停止を指摘されてなかったか、もし心当たりがあれば、一度、医療機関を受診してみることをお勧めします。

健康を維持する睡眠をとるために、何よりも大切なことは、規則正しい生活を心がけること。

私たちは、体内に、生命活動を営むための「体内時計」があります。
朝、光を浴びることで体内時計がリセットされて、1日24時間のリズムに合わせてくれるようになっています。
この体内時計のリズムに合わせて規則正しい生活をしていれば、夜になると自然と睡眠の準備が整って、質の高い眠りが得られるのです。

朝起きて、昼間活動して、夜眠る。
当たり前といえば当たり前のことですが、基本的な生活を丁寧に整えることが、あなたの睡眠の質をあげ、よりよい1日を迎えられるでしょう。

最後に

ここまで生活習慣病の予防という観点から、食事、運動、睡眠の3つの柱が重要です。
健康な毎日を送るためには、たくさんのことをやらないといけないなあ…と感じている方も、いらっしゃるかもしれませんが、全てを取り入れていただく必要はありません。

今すぐ、無理なく、できることから始めてみてください。
大事なのは、続けることです。

どんなに小さなことでも、とにかく長く継続していただくことが、生活習慣病予防においては、とても大事なのです。
まずは今日から、無理なくできることを始めていただいて、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後の変化を楽しんでみてください。

今をどう生きるのか?〜ゴールからの逆算〜

ここまで記事を読んでくださったあなたに、最後に一つ、お伝えしたいことがあります。
それは「なぜ、健康な毎日を送りたいのか?」ということです。

健康で長生きしたい。
多くの方は、こう望んでいることでしょう。

なぜそう願うのか?
人によって、答えは様々あると思いますが、多くの方に共通することは、”健康でないと、できないことがあるから”ではないでしょうか。

わたしたちは例外なく、毎分毎秒、人生の最終ゴールに向かって、進んでいます。
今は、体が思いのままに動き、思考もクリア。問題なく日常生活が送れているかもしれません。しかし、遅かれ早かれ、多くの人にとって、今享受できている”当たり前”の日常が、”当たり前”ではなくなる日がやってきます。

そうなったとき、人は初めて気づきます。
健康な毎日が、いかに幸せだったかということを。

そして、あのときもっと食事に気をつけていれば、もっと運動しておけば、もっと睡眠の質を高める努力をしていれば・・次から次へと、後悔の思いが溢れてくるかもしれません。
しかし、時すでに遅し。
過ぎてしまった過去は、変えることができないのです。
 
このような”後悔が溢れてくる未来”を迎えないために、わたしたちにできることはないのでしょうか?

答えは1つ、”今”を変えることです。
今を変えれば、未来も変わります。
わたしたちは、今をどう生きるか?で、未来をいかようにも変えることができるのです。

何のために健康でいたいのか?
それはきっと、あなたには、この人生で成し遂げたいゴールがあるからだと思います。

人生の理想のゴールに向かうために、この機会に、ご自身の生き様を見直してみませんか? 5年後、10年後も、笑顔溢れる毎日を迎えるために、今できることを、ぜひ今日から始めていきましょう。